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借りた株を売ることを「空売り」と言います

mark3  空売りとは信用取引の一種で、投資家の注文に応じて証券会社が調達してきた株を売却することを指します。 分かり易く言うと、実際には自分で保有していない借りてきた株を売り、 買い戻して返すということです。 借りた株を売却した時点の株価よりも、後に株価が下落することを予想した取引で 、株価の下落幅により利益を出すことを目的としています。

仮に10万円で空売りした株が、後に9万円まで下落したとします。10万円よりも1万円値下がりした9万円の時点で買い戻せば(借りた株を返せば)1万円の利益が出ることになります。

利益の出るケース

逆に株価を売却した時点よりも、後に株価が上昇してしまった場合は、その上昇分が 損失になります。10万円で空売りした株が、後に11万円に株価が上昇した時に買い戻すと1万円の損失になってしまいます。

空売りは株価が値上がりすると利益になる一般的な「買い」とは全く逆で、株価が値下がりすると利益になる取引なのです。

空売りの特徴

mark3 空売りは株価の下落局面でも利益を出せる優れた手法ですが、空売りが増えると売りが売りを呼び、更なる 株価の下落の原因ともなり、市場の縮小を招く危険性も指摘されています。

空売りと一般的な「買い」と比較すると、例えば10万円の株を買った場合、その会社が倒産 して株価が0円になっても損失は株を購入した資金である10万円に限定されます。

しかし、空売りの場合は一般的な「買い」と違って「損失に上限が無い」と言われています。 例と挙げると株価10万円の時点で空売りし、 その後空売りをした企業に好材料が出て株価が100万円になったとすると、その損失額は90万円にまで 膨れ上がってしまいます。更に200万、300万と株価が上昇すればその分損失も膨らみ続けることから「損失に 上限が無い」とされているのです。
(実際の取引では保証金維持率が規定の水準を下回ると強制決済されます。保証金維持率等の詳細は→追証参照)

このように空売りは一般的な「買い」と比べると、より深刻な損失を受ける可能性もあります。 そのリスクから「買いは家まで、売りは命まで」という格言もあるほどです。

株価の下落局面でも利益を出すことの出来る便利な空売りですが、 初心者の方は特にそのリスクも十分に理解した上で取引に望んでください。

空売りの注意点

mark3 空売りをした人が株価の上昇に耐えられず、株を買い戻すことで株価が上昇することを「踏み上げ」と呼びます。 「信用売り残(空売りしている量。空売りをしている人が株を買い戻す時に株価が上昇します。)」が 多い時に株価の上昇が続くと、この「踏み上げ」が起こり株価が急騰することもあります。

これを「踏み上げ相場」と呼びます。 右肩下がりで株価が下落し信用売り残が膨らんでいる企業に、突如大きな買い材料が出た時に売り玉を 抱えている(空売りをしている)と、とんでもない損失を被ることになります。空売りする時はこの「踏み上げ相場」に巻き込まれないように十分注意してください。

それでは踏み上げ相場に巻き込まれないためにはどうしたらいいでしょうか?制度信用取引において賃借状況を示す、貸借倍率という指標があります。 貸借倍率は

 信用買い(融資残高)÷信用売り(貸株残高)=貸借倍率

で算出される指標で、この指標が「1倍より高い場合は信用買いが信用売りより多いことを示し、1倍より低い場合は信用売り・所謂空売りが 信用買いより多くなっていることを表して」います。結論から言いますと、余程の悪材料を抱えているようなケースを除いて、貸借倍率が1倍を切るような低い水準では空売りは 控えた方が無難です。貸借倍率は証券会社のホームページや日証金のホームページ、取引ツールのクォートなどで 確認することができます。

mark3 東証マザーズやヘラクレスなど東証一部と比べて出来高・売買代金が少ない新興市場では 比較的少ない資金で株価が変動しやすいので、潤沢な資金を持つ仕手筋と言われる投資家が 意図的に株価を釣り上げ、踏み上げを狙ってくる事がよく見られます。新興市場は値幅が大きいので 利益を上げ易いという面もありますが、このような仕手筋に株価を操られてしまうという危うい面もあります。 仕手筋が参加した兆候は出来高急増や株価の急変動等の変化があります。これらの普段とは違う異変に気づいた時はしばらく その銘柄には手を出さ無い方が賢明です。

mark3 株価の下落を予想する投資家が増え、空売りが増えると株不足という現象も起きます。 株不足によって株が足らなくなると、空売りをした投資家は逆日歩(品貸料)という借りた株に対する、言わばレンタル料を1日に付き余計に払わなくてはならなくなります。 この逆日歩は空売りしている株数が多いと1日当たり数万円も支払わなくてはならないので、逆日歩を嫌った投資家の買戻しが株価を押し上げる結果となるので株不足にも注意してください。

mark3 そして最後にもうひとつ空売りの注意点があります。配当の権利付最終日に空売りをしていると、配当分の金額を 支払わなくてはいけません。例えば、1株100円の配当が付く株を100株権利確定日までに空売りしていると1万円を支払うことになります。通常株を買った場合、権利付最終日に株を保有していると配当金が貰えますが空売りはその逆です。 株を借りているので配当分の金額を逆に支払わなくてはいけません。 権利付最終日を跨いで空売りを持ち越す場合は 配当分を支払わなくてはならないことを忘れないようにしましょう。(権利付最終日にデイトレで取引をして、その日の内に取引を完了した場合は配当金を払うことはありません。 権利付最終日に空売りし、翌日まで持ち越した場合にのみ配当金を払わなくてはならなくなります。)もちろん、配当金を支払う金額よりも空売りの値下がり益の方が大きい時は、そのまま売り玉を持っていて結構です。

空売りはマイナス面が大きいようにも見えますが、株価は上昇には時間が掛かり、下落する時は急激に下げる傾向が顕著です。 一度下落した株価が戻すには時間が掛かり、急騰した株価が下落するペースも早いことからも、 空売りが利益を挙げやすい取引であることも確かです。

空売りに必要な信用口座

mark3  実際に空売りをするには、一般口座とは別に信用口座の開設が必要です。 信用口座の開設には、別途申し込みが必要で資産、投資経験、職業などの証券会社の審査を通過した時に 開設することができます。

この審査の基準は証券会社によって様々ですが、私が信用口座を開設した時には、 意外と簡単に審査を通過できました。イートレードは比較的信用口座開設の審査が甘いと言われているので 他の証券会社の審査で落ちてしまった場合はイートレードで申し込んでみると良いかもしれません。

信用口座が開設されると、空売りの他に証券会社の口座に入っている3倍の金額を取引に使うことが できるようになります。100万円を証券会社の口座に入金しているとすると、300万円まで取引に使うことが できるようになるということです。しかし、初心者の方はリスクが大きいのである程度の経験を積むまでは 信用取引は控えた方が良いかもしれません。

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